私のUMUI“想い”を届けたい~デザイン×観光業で、地元沖縄と向き合い続ける

UMUI(ウムイ)とは、沖縄の方言で「想い」を意味する言葉です。

本記事では、沖縄で観光業を手掛けるITベンチャー、株式会社UMUIに入社したメンバーをご紹介。それぞれが大切にしているUMUI“想い”を届け、皆さまとつながりを持つきっかけになれば嬉しいです。

インタビュイー:横山繭(Yokoyama Mayu)
沖縄県八重瀬町生まれ。琉球大学2018年卒。幼い頃から両親に連れられ、国内外を旅行する中で、観光業に興味をもつ。ゼミ活動をきっかけに沖縄の社会課題に関わる仕事をしたいと考え、社会福祉士を取得。ソーシャルワーカーとして拠点型の居場所事業に従事。2022年、デザインスキルを向上させるためにモノクラムへ転職し、Webデザイナーとして従事。身につけたソーシャルワーカーの知識、デザインスキルを武器に、沖縄の観光ベンチャーUMUIの1人目社員として入社。
目次

沖縄の人・地域に私は何を還元できるのか

ー本日は繭さんの原点となる体験や価値観を探りたいと思います。はじめに、幼少期の記憶について教えていただけますか?

両親からは「感受性が強く、人の気持ちに敏感な子だった」と言われていました。例えば、クラスでひとり浮いている子がいると放っておけず、つい話しかけてしまうようなタイプだったそうです。自分ではあまり覚えていませんが、周囲に目を配り、人の気持ちに寄り添う「気遣い屋さん」と言われたこともありました。

今思えば、そんな性格が、のちにソーシャルワーカーという道を選ぶ原点だったのかもしれません。誰かのために動くことが自然で、むしろ自分自身を動かす原動力になっていたように思います。

ー大学時代は、琉球大学の観光産業科学部を選ばれたそうですね。この学部を選んだきっかけは何でしたか?

進学先に選んだのは、沖縄中部にある琉球大学です。広大なキャンパスには森や橋、信号機まであり、次の講義の教室が遠いときは、車で移動する学生もいるほど。学食が美味しく、キャンパス内を散歩するのが気持ちよくて、まるで観光地のような雰囲気がありました。

観光に興味を持ったきっかけは、旅行好きな両親の影響です。幼い頃から県内外を問わずさまざまな場所に連れて行ってもらい、旅先での出会いや風景、体験を通じて、「観光っていいな」と自然に思うようになりました。

そして、自分のルーツである沖縄の主幹産業が観光業であることを意識したとき、そこに関わることが将来的に地域への還元にもつながるのではと考え、観光を学ぶ道を選びました。

ー学生時代の学びを経て、1社目は観光業と異なる分野に進まれたのはなぜでしょうか?

大学では観光を学んでいましたが、ゼミ活動を通じて次第に「沖縄の社会課題に関わる仕事がしたい」と思うようになりました。そこで卒業後は、社会福祉士の国家資格を取得するために専門学校へ進学し、資格取得後に改めて就職活動を行いました。

観光を学ぶ中で、現地に足を運ぶ人がいてこそ成り立つ産業である一方、地域に暮らす人々の生活や文化をどう守るかが常に問われる分野だと感じました。地域を守りながら観光業を伸ばす。その難しさに直面したとき、まずは足元から地域に関わる経験を積もうと考えたのです。

そうして出会ったのが社会福祉士という仕事でした。人と地域に直接関わり、社会課題に向き合う専門職。勉強が好きだったこともあり、「まずは資格を取ろう」とすぐに進路を決めました。

社会課題を解決する第一歩。沖縄の子どもたちの居場所をつくるソーシャルワーカーへ

社会福祉士の資格を取得後、糸満市教育委員会学校教育課、自立支援室「希望(のぞみ)」に就職しました。「希望(のぞみ)」は、国の補助金を活用して子どもの居場所をつくっている「拠点型の居場所事業」です。対象となるのは、非行に関わる子どもや、知的・発達に課題のある子、不登校の子どもたち。彼ら・彼女らに声をかけながら、社会との接点をつくっていく取り組みを担いました。

私は社会福祉士として、警察や児童相談所、学校教諭などと連携し、子どもを取り巻く地域資源をどのように活かすかを常に考えながら、居場所づくりを進めていました。

施設の中には児童館として機能している場所もあり、放課後になると自然と子どもたちが集まってきます。そこに来た子どもたちを受け入れながら、気になる子をスタッフ間で共有し、必要があれば行政と連携して状況の洗い出しを行います。

学校や教育委員会からの情報も受け取りつつ、家庭訪問や学校訪問を通じて直接子どもに声をかけ、信頼関係の構築に努めました。「あなたに危害を加えることはないよ、話を聞くよ」と時間をかけて伝え続けることで、少しずつ自己開示してくれるようになりました。

子どもたちの声を受け止め、必要な支援につなげていく。そんな関わりを日々積み重ねていました。

ーソーシャルワーカーとして経験を積んだ後、次はWebデザイナーにキャリアチェンジされましたね。どのような心境の変化があったのでしょうか。

2社目は、沖縄を拠点にクリエイティブ制作を担うモノクラムというサイバーエージェントのグループ会社に、Webデザイナーとして転職しました。デザインスキルを身につければ、自分にできることが広がると考え、修行するぞと意気込んで入社したんです。

実は、大学時代にAdobeを使うことも多く、1社目で教材づくりを経験したことがきっかけで、デザイン技能を学ぼうと決めました。

沖縄の社会課題と向き合うための“武器”を探す旅

ーソーシャルワーカーとして順調に歩んでいたにも関わらず、2社目でガラリと職種転換をしたのはなぜですか?

教育委員会の仕事で、子ども向けの教材づくりに関わることがありました。それがきっかけとなり、文字やデザインで伝える仕事に興味を持ったことがきっかけの1つです。また、振り返ってみると、私の仕事観も大きく影響していたのだと思います。

私は、「資格をとったから社会福祉士になる」「観光を大学で学んだから観光業でずっと働く」などと、短絡的に決めたいとは思いませんでした。そうではなく、色んなものを見ながら価値観の幅を広げ、戦える武器を集めながら可能性を探り、最終的に何かしら専門性を持てたら御の字だと考えていました。

そして、武器を揃えたときに改めて沖縄の社会課題と向き合い、私ができることをやりたいと。沖縄の社会課題というテーマを主軸に置きながらも、視野を広げるためにあえて仕事を拡張し、広げたあとに自分の得意分野や専門性を定めていこうと考えていました。

ーたった数年の社会人生活の中で、そのような仕事観はなぜ確立されたのだと思いますか?

そうですね。質問を受けてパッと思い浮かんだのは、父の存在です。私の父は、都市開発から教育関係まで、様々な仕事に就いてきた人です。意識的に父の生き方を模倣してきたわけではありませんが、もしかしたら知らず知らずのうちに父の生き方が伝播していたのかもしれませんね。

ーまったく異なるWebデザインのフィールドで得られたものはありますか?

ユーザーを行動に導く戦略的な思考と、デザインの基礎力を身につけることができました。もともとPC作業やデザインは好きで、独学もしていましたが、広告は必ずしも歓迎されるものではありません。誰もがスマホで不要な広告にストレスを感じた経験があると思います。

だからこそ、ただ見た目が綺麗なものをつくるのではなく、「どう伝えるか」「ユーザーにどう動いてもらうか」という視点が重要でした。伝えたいことを的確に届け、意図したアクションを引き出す。そのための戦略を考え抜いた経験は、今の私にとって大きな財産になっています。

デザインスキルという武器を身につけ、次のステージへ

ーこれまでのキャリアで、自身が大きく変化したときのエピソードを教えていただけますか?

社内の勉強会に参加したことが、大きな転機になりました。この勉強会は、新規案件に対して課題分析から提案・デザインまでを一貫して自分たちで行うもので、それまでの「営業部からの依頼に応える」という受け身の業務とは異なる体験でした。

進め方は完全に自由で、競合調査から入る人もいれば、ペルソナを何パターンも設計する人も。私自身も試行錯誤しながら取り組み、最終的には入賞という形で評価していただきました。とくに直属の上司から、「思考のプロセスが的確で、今後に十分つながる内容だった」とフィードバックをもらえたことが、大きな自信になりました。

時間が限られている中でも自分自身で能動的に分析をしたり、仮説を立てたりしながらクリエイティブと向き合い、アウトプットしていくことに楽しさややりがいを見出せた瞬間でした。ここまでやってきたことは、単なる作業ではなくて、意味があることなんだと体感できた経験でもありましたね。

観光業×社会課題解決×デザインで再びキャリアを描く

ー2社目を辞めたあと、どのように働く予定でしたか?

私の計画としては、デザインスキルを身につけたら、沖縄に関連する企業でデザインの力を使って働くか、ふたたび社会福祉士の経験を活かしながら沖縄の社会課題という軸で仕事をしたいと考えていました。

ただ、2社目を退職した後は、久しぶりの自由な時間を満喫しようと考え、数ヶ月のあいだ韓国や福岡、大阪などあちこちに旅をして過ごしました。ここでも、やっぱり旅行が好きだなと感じながら休息時間を満喫しました。

ーUMUIの求人はどのように探して出会いましたか?

UMUIの求人は、自分にとって本当にいいタイミングで出会えたと思います。ジョブアンテナで見つけたとき、「こんなに完璧な求人ってあるの?」と驚き、興奮して知人に報告したくらいです。デザインスキルを活かし、沖縄の主幹産業である観光業で、社会課題を解決する。ここまで条件が揃う求人はもう出会えないんじゃないかと。選考の序盤から、ここに入社したいと思っていました。

ー社長と面接で何を話しましたか?第一印象を教えてください。

そうですね、福山社長は言語化が非常に的確すぎる方だなと思いました。私の質問に対して、即座に、的確に、明確に言葉を返していただいたため、安心感を得られたんです。

面接の中で、とあるテーマについて深掘りするような質問で、「まとまってなくても良いので、今頭に浮かんだことを話してくれますか」と問いかけてくださるシーンも印象的でした。正直なところあまりうまく話せなかったものの、社長が汲み取って言語化してくれたのが心強かったです。

ただ、細かいところは緊張していて覚えていないんですよね(笑)。たくさん質問されるというより、今後のUMUIについて構想を教えていただき、それに関連するディスカッションをした、そんな面接でした。

ー今、選考を振り返ってみて、繭さんの何が評価されたと思いますか?

社長には、「ロジカルに話せる方」という評価をいただきました。自分自身、胸をはっていいかどうかは分かりませんが、確かに、物事を考えるときは構造的に捉えるように意識しています。

1社目で子どもたちと関わるときも、表面だけで決めつけず、対峙する人や言葉の根底にあるもの、背景について慎重に見るように努めていたんです。表に表れた言葉の裏に隠れている本音を見極めること、点で判断せずに、全体を俯瞰して構造的に捉えること。この考え方をロジカルと表現してくださったのかもしれませんね。

ー改めて、UMUIに入社を決めた理由を教えていただけますか?

シンプルに、私がこれまでずっとやりたかった観光業であり、沖縄の社会課題に関わる仕事であること。そして、経験を広げる修行の中で身につけたデザインスキルを活かせること。これらの条件が一致していたことが、入社の決め手です。

大学時代に学んだ学問としての観光業、ソーシャルワーカーとして向き合った沖縄の人と地域、社会人として自信を持つことができたデザインスキル、これらを存分に活用し、沖縄に対する熱量を表現していきたいと思いました。また、本気で沖縄に向き合っている社長の想いを感じ取れたことで、入社を迷わず決意しました。

入社後の今、これからの私のUMUI

ー入社後、約1ヵ月が経ちましたね。この1ヵ月どのように過ごしてきましたか?

私はUMUIの正社員第1号のデザイナー職で入社しましたが、単に広告バナーを作るだけではなく、事業全体に関わるデザイン業務を幅広く担う予定です。UMUIは、お土産屋や沖縄旅行Webメディアをはじめ、今後も多角的な事業展開を見据えています。私の役割も、その中核を担うものとして期待されています。

この1ヵ月は、まず事業全体の構想を理解するところからスタートし、Webメディアの編集業務や土産屋の物件下見、関係者との顔合わせなど、さまざまな業務に携わってきました。

社内のルールや業務フローはまだ整備途中のため、デザインや編集部のマニュアルづくりにも関わりつつ、自分自身の役割や今後習得すべきスキルを整理しているところです。流動的な部分も多いですが、自分で考えながら、一つひとつ着実に取り組んでいます。

ー働き方や社長とのコミュニケーションについて教えてください。

週に1回は出社して社長と直接コミュニケーションを取り、それ以外の日はリモートワークで働いています。社員は私ひとりですが、準備中の事業に関わるパートナーの方々との打ち合わせも多く、非常に密度の高い日々を過ごしています。

社長との距離も近く、数日前には沖縄の貧困問題について話し合い、UMUIとしてどのような社会的な取り組みができるかをディスカッションしました。私の話にもじっくり耳を傾けてくださる方で、安心して対話できる関係性を築けています。

ー一緒に働く「人」について印象を教えていただけますか?

CDO(Chief Design Officer)の舛谷(ますや)さんは、クリエイティブに向き合う姿勢が誠実で、非常にパッションにあふれた男性だと思います。今までのご経験も多彩で、店舗立ち上げや施工関連の知識も豊富と聞いているので、日々学ばせていただいています。

UMUI Clip編集長のさつきさんは朗らかで明るい方で、一緒にいると雰囲気がほぐれるんです。私自身、ちょっと生真面目な部分があるので、柔らかく接していただけてとても救われた気持ちです。今後、お土産屋のオープンに向けて社員やパートナーも増えていくと思うので、これからの出会いにもワクワクしています!

ー入社後、SNS運用にチャレンジし始めたそうですね。この活動の狙いやメリットについて教えてください。

実は、もともとSNSは積極的に投稿をしないタイプでした。はじめは何を投稿していいか分からず、投稿をするたび手が震えるほど緊張していたんです。

それでもSNS運用にチャレンジし始めた理由は、UMUIに興味を持ってくれる人や、「一緒に働いてみたい」と思ってくれる人とつながるきっかけになると思ったから。私自身の視点を通してUMUIのことを知っていただき、関心を持ってくれる人が少しずつ増えていったら嬉しいです。

SNS投稿の内容を考えたり、フォロワーの皆さんと交流したりするのは、まだ不慣れな部分もあります。でも最近はSNSを通して沖縄現地の方々とつながる楽しさも知りました。これからも自分自身の「伝える力」を伸ばしながら、皆さんと一緒に沖縄を盛り上げて、新しい出会いにつなげていきたいです。

ー最後に、UMUIにこれから応募される方にメッセージをお願いします!

UMUIは、まだ設立から1年も経っていない会社です。だからこそ、事業づくりに深く関わりながら、一緒に広げていけるチャンスがあると思います。これから入ってくださる方に対しては挑戦を歓迎し、ともにかたちづくる姿勢を応援する社風があります。

自分で何かを生み出していきたい方にぴったりの環境があるので、ぜひご応募いただければ嬉しいです。

取材・編集:横内さつき
取材協力:横山繭

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